One Global IP 特許事務所は、発明者の創作されたアイデアを知的財産化するという受け身な立場の特許事務所活動から一歩踏み出し、
知的財産部門の皆様はもちろん、事業経営者・開発責任者のお悩みに寄り添い解決していく活動をしたいと考えています。
その考えを推進するために対談という形で、サイト上で随時 ご紹介いたします。

第1回:「知財活動や研究開発活動ミッションの再定義」編へ

対談メンバー/豊山おぎ(One Global Ip 代表) × 横山 勝(One Global Ip CIO)
One Global IP 特許事務所のミッションの見直し

豊山 おぎ
(以下/豊山)

One Global Ip 特許事務所は、旧来からの特許・意匠・商標を出願・登録・維持するといった「昭和・平成時代の特許事務所」から抜け出て、このたび企業のイノベーション活動や知財活動に、より深く関わるべく事務所の体制を大幅に変更します。そのキーパーソンとして、横山勝氏を当所にお迎えすることと致しました。
横山さんは、松下電工で約33年、王子ホールディングスで約9年、研究開発活動と知的財産活動に携わってこられたんですよね。これまでの活動で、特に力を入れてこられたテーマについてお話ください。

横山 勝
(以下/横山)
ここ20年ほどは、知財戦略およびイノベーション戦略の提案・実行に注力しました。

豊山

知的財産活動だけでなく、イノベーション戦略にも取り組まれてきたのはあまり見られないケースだと思います。「知的財産活動とイノベーション戦略」において、特に意識されていたことは何ですか?

「未来志向」の経営を目指して
横山
一言でいうと、未来志向の経営です。現状をしっかり認識する必要があることは、当然ですが、その上で、10年後、20年後を構想するべきです。

豊山

私もパナソニック知財でいろいろな企業の知財活動をしてきましたが、「10~20年後を構想する」ということはあまり意識したことはありませんでした。「10~20年後を構想する」とは、具体的には何をすることなのでしょうか。

横山

20年後を構想した後、現在までバックキャストさせて、現状事業とのギャップを認識するということです。そのギャップをいかに埋めるかが基本となります。

豊山

なるほど、「ギャップを埋める」ですか。20年後をどう構想するのかも、キーになってきますね。
ギャップを認識した上で、それを埋める。確かに重要ですね。

まずは「産業生態系」を意識する
横山
その通りです。そのギャップが、自社が現在事業活動している産業生態系にあるのか、全く異なる産業生態系にあるのかでアプローチが異なってきます。

豊山

「産業生態系」とは、一体どういうものなのでしょうか?<br>

横山
自然界の生態系をイメージしていただいて構いません。植物があって、草食動物がそれを食べる。そしてそれらを肉食動物が消費する。いっぽうで、肉食動物の命が尽きれば、それらが菌などを介して、自然に戻り、それを肥しに植物が育つ。 当然、アフリカとシベリヤ、あるいは日本では生態系は全く異なります。

豊山

産業においても同じことが言えるということでしょうか。

横山
そうです。産業生態系の場合、一つの生態系には大きく三つの業態が存在します。中心には「システム・ソリューション」、そしてそれを支える「ハード売り」と「ソフト売り」の業態です。

豊山

どの企業も、どこかの産業生態系の中で、この三領域のどこかで活動しているということですか?

横山
はい、例えば王子ホールディングスの新聞紙事業は、「情報」という事業の産業生態系の中のハード売り業態になります。その際のシステム・ソリューション業態には新聞社がいて、ソフト売り業態に記者や作家がいることになります。
組織の将来を真剣に考えるのは誰の役目なのか?

豊山

なるほど…知財パーソンとしては、かなり視線を上げられそうす。 ということは、20年後を考え、バックキャストするということですか。
横山
20年後を想定しても、同じ産業生態系で生きていけるのであれば幸せですね。これが、もし全く異なる産業生態系への挑戦が必要なのであれば、大変です。青虫が繭をこしらえ、最後は蝶になるように、したたかに変態を仕掛けなければなりません。

豊山

今開発された知財を確実にすることは“イロハの「イ」”だと思いますが、足元ばかりでは、「5年後、10年後、20年後の未来のための知財」にはならないということでしょうか。

横山
社長やCEOといった肩書を持つ経営トップは、本来的には20年後、さらにはもっと先まで想定して経営を進めるべきですが、一方で最近はIR活動が企業にとって必須活動になってきています。否が応でもクォーター(3か月)のIR活動に対峙しなければなりません。

豊山

そういった中で、20年後を構想することも必須だというのは酷な気がします。
横山
そのために、知的財産部隊や研究開発部隊が存在すると、私は考えています。
知財部門・研究開発部門を再定義する

豊山

例えば、知財部門や研究開発部門が20年後の構想を出すという事なのでしょうか?
横山
もちろん、それが可能なら素晴らしいでしょうね。そのためには、知的財産部または研究開発部隊のミッションを再定義する必要があります。

豊山

再定義とはどういうことでしょうか?
横山
例えば、知財でいうと、いままで、企業と特許庁結ぶ手続き機関としての知的財産部であったものから、将来に向けた仕掛けを提案し実行する、イノベーションの尖兵に変更するようにミッションを変えることです。

豊山

なるほど…。企業内でこの活動をするのは、言うは易く行うは超難しいという感じがしますが、私たちOne Global Ip 特許事務所が、そのサポートをするために、活動ミッションを「再定義」する、ということですね。
横山
そのとおりです、豊山さんと一緒に、そのような活動が出来ることを楽しみにしています。
どうせやるならステークホルダーがワクワクする活動に

豊山

最後に、全体の活動を通して意識したいことを教えてください。
横山
一言でいうと、自分も含め、ステークホルダー(関係者)が「ワクワク出来るか?」ということです。
豊山
「ワクワク」というキーワード、いいですね!
横山
企業活動を通して、せっかく素晴らしい価値を世の中に届けようとしていても、それらを遂行する関係者がワクワクと心が躍らなのではダメだと思っています。

豊山

私自身も、これからの新たな取り組みにワクワクしています!
あと、「知的財産活動」と「イノベーション戦略」との絡みについても気になっています。今後、新たな活動を加えて、クライアントの皆様のために「未来のための知財づくり」をスタートすることも、横山さんといろいろな議論ができることも、とても楽しみです。

横山さんとの議論は、サイトその他の場面でご紹介していきたいと思っています。ご期待ください!

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